中小企業診断士

【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論12 リーダーシップ論

 こんにちは、Kennyです!前回はモチベーションを上がる仕組みについて見ていきました。

前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論11 モチベーション<後半>

本日は、組織論の第5回目、「リーダーシップ」について見ていきましょう。

リーダーシップの概要

 リーダーシップとは、何らかの目標を達成するために、他人に影響を与える力のことを言います。さらにかみ砕いて言うと、集団の目標を設定し、それを達成するために、集団の他のメンバーの態度や行動を統合し(組織化)、それを一定の水準に保つ力です。

リーダーのパワーの源泉

 リーダーはメンバーが集団の目標に向かって達成しようとするように、働きかけることが必要です。そのために、メンバーを従わせるためのパワーが必要になります。パワーの源として、以下の5つのものが提唱されています。

強制力

 命令に従わない場合には罰を与える。恐怖で従わせる。

報酬力

 給与などの報酬を決める、給与の査定ができる権限のことです。

正当権力

 企業内のヒエラルキーの中での地位・役職。地位に基づく正当な権力。

専門力(エキスパート力)

 専門技術・知識、特殊なスキルに基づくパワー。

同一視力(準拠力)

 尊敬し、その人のようになりたいと思わせる力。

リーダーシップ論の変遷

 優れたリーダーになるにはどのようにすればよいのかは非常に大きな問題であり、多くの研究がなされ、理論が生み出されてきました。その変遷を見ていきましょう。

1.資質特性論

 リーダーになる人は、リーダーになれない人と能力や資質、パーソナリティなどが異なるのではないかという理論です。例えば、カリスマになれるリーダーの要素を分解すると、以下の資質があると考えられます。

  • 自己犠牲をいとわない
  • リスクを進んで負う
  • ビジョンを持っている
  • 人々を動員できる
  • 改革者である

2.行動類型論

 資質特性論では個性とリーダーシップについて考えていきますが、行動類型論では、どのような「行動」が優れたリーダーを作り上げるのかを説明しようという理論です。

アイオワ研究(レビンの類型論)

✓行動の分類:独裁制、自由型、民主型
✓良いリーダーの行動型:民主型

オハイオ研究

✓行動の分類:構造作り、配慮
✓良いリーダーの行動型:構造作りも配慮もできるリーダー

ミシガン研究

✓行動の分類:参加型、相談型、温情的専任型、独善的専制型
✓良いリーダーの行動型:生産性よりも従業員を大切にする

PM理論(三隈二不二)

✓行動の分類:リーダーの2要因を、「目標達成機能(Performance: P機能)」と「集団維持機能(Management:M機能)」から成るとし、その要因が低いと小文字(p, m)、高いと大文字(P,M)で表記します。

✓良いリーダーの行動型:P機能、M機能共に高いPM型がベストであるとしています。

マネジリアルグリッド ブレーク&ムートン

✓行動の分類:「業績への関心」の高低と「人への関心」の高低とで分類します
✓良いリーダーの行動型:業績への関心も高く、人への関心も高いスーパーマン型(9,9)がベストとされます。

3.コンティンジェンシー理論

 リーダーシップはリーダーの資質や特性、行動だけでなく、対人関係といったリーダーの周囲を取り巻く環境によっても左右されるため、環境の要素を含めた理論。

フィードラーの理論

 リーダーと部下が接するときのスタイルと置かれている状況を適合させることが有効なリーダーシップを発揮して、好業績を上げる条件になると提唱した。

 リーダーの特性は2つに分かれます。その見分け方はLPC(Least Preferred Coworker)という尺度を用います。これは職場で最も好ましくない仕事仲間をどうとらえるかです。

  • 高LPC→人間関係志向型リーダー:許容的、非指示的、部下に対し配慮がある
  • 低LPC→課題達成志向型リーダー:指示的、管理的、部下をコントロールする

 リーダーの置かれている状況は以下の3つに分けます。

  1. リーダーとメンバーとの関係が良否
  2. 仕事(タスク)の内容が明確か否か
  3. リーダーの権限の強弱

 上の3つの区分を3段階に評価し、リーダーの特性と合わせて評価します。状況によりどちらのタイプのリーダーが向いているかは以下の通りです。

  • 環境の不確実性が高い・低い→課題達成志向型リーダー
  • 環境の不確実性が中程度→人間関係志向型リーダー

パス・ゴール理論

 部下や環境に応じて適切なパスを示し、ゴールの達成を助けるべきという理論。リーダーシップは以下の4つに分かれます。

  • 指示型:タスク曖昧、部下未成熟な場合に有効。工程を示す。
  • 支援型:タスク明確な場合に有効。気遣い重視。
  • 参加型:部下の能力や自立性が高い場合に有効。部下に意見を求め提案を活用。
  • 達成型:タスク曖昧だが、努力すれば高い業績につながる期待がある場合に有効。

SL理論(Situational Leadership、状況対応型リーダーシップ)

 部下の成熟度に応じて適したリーダーシップが存在するという理論。

部下の成熟度=目標達成意欲+責任負担の意思と能力+経験

部下の成熟度の高まりに応じて以下の順で適したリーダーシップがある。

  • 指示型リーダーシップ:業務を事細かに指示する。
  • 説得型リーダーシップ:指示に対する心理的抵抗を低くする。
  • 参加型リーダーシップ:双方の意思決定への参加。
  • 委任型リーダーシップ:部下に思い通りにやらせる。

4.その他のリーダーシップ論

リーダーメンバー交換(Leader-Member eXchange)理論

リーダーはメンバーを平等に扱わず、好意的に振る舞う「内集団」と非好意的に振る舞う「外集団」とに分類するという理論。

本日もありがとうございました~!
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論13 組織活性化とナレッジマネジメント

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