中小企業診断士

【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論11 モチベーション<後半>

 こんにちは、Kennyです!前回はモチベーション理論の概要と、動機付けのもととなる欲求について見ていきました。

 前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論10 モチベーション<前半>

 本日は、組織論の4回目、「モチベーション」の中の「内容理論」と「過程理論」について見ていきましょう。

内容理論

 内容理論とは、人は何に対してモチベーションが上がるか、ということに焦点を当てた理論です。

1. XY理論(マグレガー)

✓内容

 X理論とは、「人間は元来仕事が嫌いで命令、統制する必要がある」という理論、Y理論とはマズローの欲求段階説の成長欲求(自己実現欲求)をベースにした「人間は条件次第ですすんで仕事に励むものである」という理論です。人により、X理論要素が強い人と、Y理論要素が強い人がいる、としています。

✓理論に基づくモチベーションアップ法

 X理論が強い人に対して:アメとムチが有効です。
 Y理論が強い人に対して:目標管理制度(MBO; Management by Objectives)が有効です。MBOとは『マネジメント』の著者で有名なピーター・F・ドラッカーの提唱した組織マネジメント法の1つです。個々の担当者に目標を設定、申告させ、その進捗や実行を担当者本人が管理する手法です。この手法は仕事のみならずプライベートでもよく使われるのではないでしょうか。ダイエットや筋トレ、試験勉強についてもそうかもしれません。

これを利用する際に陥りがちなポイントは以下の通りです。
・やみくもに目標を定量化すればよいとしてしまう
・自分の目標達成のみに焦点が当たり、全体目標がおろそかになる
・短期目標に偏ってしまう
・目標達成を意識しすぎて、低めの目標を設定してしまう

2. 成熟・未成熟理論(アージリス)

✓内容

 人は未成熟な状態から成熟した状態に成長したがる、という理論。つまり、自身が成長する方向にはモチベーションが湧きやすいとする理論。

✓理論に基づくモチベーションアップ法

 職務拡大(ジョブ・エンラージメント)が有効。つまり、1つの作業を覚えたら、他の作業もしてもらうようにして、水平方向にできることを増やして多能工化していくという手法。

3. 二要因理論、動機付け・衛生理論(ハーズバーグ)

✓内容

 モチベーションを左右する要因を、2つの要因に分解できるとする理論。その2つの要因とは、足りないと不満足を感じる「衛生要因」と、あると満足感が生まれる「動機付け要因」です。衛生要因の例は、給与や会社の対人関係、会社の方針、作業環境などです。これらが低いとモチベーションが上がらないですよね。一方の「動機付け要因」の例は、表彰や昇進、個人的な成長の機会などです。これがあると、モチベーションが上がる人も多いと思います。

✓理論に基づくモチベーションアップ法

 動機付け要因を刺激することで従業員のモチベーションを高める。例えば、1つの仕事が完了したら、さらに難易度の高い仕事を与えるなどの職務充実(ジョブ・エンリッチメント)を行うことです。

4. 達成動機説(マクレランド)

✓内容

 モチベーションにつながる欲求には3つある。
・達成欲求:最重要。成功報酬よりも達成感を求め努力する
・権力欲求:他人に影響力を与え、コントロールしたい
・親和欲求:他人に好かれたい

✓理論に基づくモチベーションアップ法

 達成欲求の強い人は、中程度(いい感じの)困難さ・リスクとフィードバックを好みます。難しすぎても簡単すぎてもやる気が上がりきりません。

過程理論

 過程理論とはモチベーションが湧く過程に注目した理論です。

1. 期待理論

 モチベーションの大きさは、努力すれば相応の成果が得られそうとする「期待」が大きく、その成果がその人にとって意味のあるものであるほどモチベーションが上がるという理論。

2. 公平説

 努力をしても、相応の努力をしている他の人よりも評価されないと、不公平に感じ努力量が減る、という理論です。

3. 強化説

 モチベーションは報酬によって強化されるという説。適切な報酬(外発的要因)を受けるとモチベーションが上がり、報酬を受けられなかったり逆に処罰されたりするとモチベーションが下がるという。

4. 目標設定説

 自分が何をどのようにするかという目標を設定できる状況にあるとモチベーションが上がるという説。

その他のモチベーション理論

1. 内発的動機付け

 強化説に出てきた報酬などの外発的動機付けと反対に、内的な要因(好奇心や楽しさ、充実感、達成感など)によって動機付けられていたり、活動それ自体が目的となっている場合を内的動機付けといいます。

2. コンピテンス概念(R.W.ホワイト)

 自らの潜在能力、有能性を自覚し、ある物事が起こった時に、自分のその潜在能力で解決できるだろうという自己効力感、有能感を感じます。そして、有能感を感じる対象に対する活動のモチベーションが上がります。

3. 職務特性モデル

 仕事内容の特性がモチベーションに影響を与えるという理論です。
仕事内容の特性は以下の5つに分けられます。

中核的職務特性

1. 技能多様性:スキルが必要であること
2. タスク重要性:そのタスクが他に影響を及ぼす
3. タスク完結性:最初から最後まで一貫できる
4. 自律性:仕事内容に自分なりの工夫を加えることができる
5. フィードバック:手ごたえがある



本日もありがとうございました~!
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論12 リーダーシップ論

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