こんにちは、Kennyです!前回は労働安全衛生法について見ていきました。
前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論18 労働関連法規<労働安全衛生法>
今日は労働基準法、労働安全衛生法以外の労働関連法規について見ていきましょう。
労働者災害補償保険法(労災保険)
労働者災害補償保険法の概要
またの名を労災保険法と言います。労災保険の内容は大きく2つに分かれます。保険給付と社会復帰促進です。保険給付の中には二次健康診断等給付も含まれます。これは健康診断の脳血管・心臓に関する項目で異常所見があった場合に、定められた追加の検査および特定保健指導を受診者の負担なく受けることができるものです。
適用事業
労災保険は1人でも労働者を使用する事業であれば適用対象となります。ただし、公務員や船員など、他の補償法が適用される労働者は適用除外となります。
労働者災害の種類
労働者災害は以下の2つに分かれます。
業務災害
業務が原因で生じた災害です。業務災害として認められるには、①労働契約の下に行った業務で(業務遂行性)、かつ②業務とケガ・病気等の間に相当の因果関係があること(業務起因性)が条件となります。
通勤災害
就業に必要な移動中に発生した災害のことです。家と職場との往復や複数の勤務地間の移動に加え、単身赴任者の場合には帰省先の家から単身赴任先の家までの往復も含まれます。また、中断した場合には原則中断以降は対象となりません。ただし、中断が日常生活上必要で、やむを得ない事情かつ最小限の場合には、正規のルートに戻った後に発生した災害は通勤とみなされます。
中小事業主の特別加入
労災保険は労働者を対象としており、原則使用者は含まれません。ただし、一定の規模以下の事業の事業主は特別に労災保険に加入することができます。
雇用保険法
労働者の雇用や生活の安定が目的です。労災保険と同じく、1人でも労働者を使用する事業が対象です。雇用保険の元である失業保険の労働者が失業した際の給付に加え、就職促進や再就職のための教育訓練、能力開発などが含まれます。雇用保険の保険料は事業主と被保険者(労働者)が負担しますが、事業主の方が多く負担します。
社会保険
健康保険法
労働者とその被扶養者の労働者災害以外のケガや病気、死亡や出産に関して保険給付を行います。保険料は事業主と被保険者(労働者)が折半します。
介護保険法
要支援、要介護状態になった人を支えるためのものです。介護保険料は満40歳から労使折半で健康保険料に含んだ形で負担します。
厚生年金法
労働者の老齢、障害、そして死亡に対して保険給付を行います。老齢給付は65歳以上に対して、老齢基礎年金に上乗せされます。障害給付は障害等級により障害厚生年金と障害手当金のどちらかが支給されます。また、被保険者が亡くなった場合には、遺族に対して遺族厚生年金が支給されます。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法は、その名の通り下に列挙するような雇用や待遇において男女の均等な機会の確保を図る法律です。さらに、女性労働者の妊娠・出産後の健康の確保も目的となっています。
差別禁止事項
- 募集、採用
- 配置、職種、雇用形態
- 昇進、降格
- 教育、福利厚生
- 退職、定年、解雇
- アファーマティブ・アクション(ポジティブ・アクション)
募集などで男性のみ、女性のみなどは原則禁止ですが、女性が極端に少ないなど、男女間で格差がある状況(女性が4割未満など)を改善するために女性のみを募集するといったアファーマティブ(肯定的)・アクションは認められています。
育児・介護休業法
育児休業
- 1歳に満たない子を育てる労働者が申し出ることで取得できます。
- 保育園に入れないときは1歳半になるまで延長できます。
- それでも保育園に入れないときは最大2歳まで延長できます。
介護休業
要介護状態の家族がいる労働者が申し出ることで取得できます。年間93日(約1/4年)まで3回を上限に分割して取得が可能です。
労働組合法
労働組合法の概要
労働組合とは労働者が主体となってより良い「労働条件」や「経済的地位」を目指し組織する団体のことです。労働組合法は労働者が団結し(団結権)、使用者と交渉し(団体交渉権)、場合によってはストライキやボイコットなどの行動を取る(団体行動)といった労働者の基本的人権にあたる「労働三権」を守るための法律です。
不当労働行為
具体的には以下の不当労働行為を禁止します。
- 労働組合での活動を理由にした不利益な取り扱い
- 黄犬契約(労働契約時に労働組合にかかわらないことを条件にした契約)の締結
- 正当な理由のない団体交渉の拒否
- 労働組合への介入や経費援助
労働施策総合推進法
労働施策総合推進法の概要
パワーハラスメント対策の強化が図られたため、通称「パワハラ防止法」。働き方改革の一環で、多様な働き方や仕事と個人の生活の両立を目的に雇用対策法が改正されてできました。2020年6月から大企業を対象に適用されていましたが(中小企業は努力義務)、今年の4月1日から中小企業にも適用されます。試験にも出てきそうですね。
パワハラとは
職場においてお紺われる言動で、以下の3つすべてを満たすものです。
- 優越的な関係を背景としている
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えている
- 労働者の就業環境が害される
労働施策総合推進法では上の3つでパワハラを定義し、さらに6つのパターン分類をしています。
- 身体的攻撃
- 精神的攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
企業が講じなければならない措置
- 事業主の方針等の明確化および周知・啓発
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制整備
- 職場におけるパワハラ発生後の迅速かつ適切な対応
- パワハラ関係者のプライバシーの保護
- パワハラの相談を理由とする不利益な取り扱いの禁止
なお、パワハラをメインで取りあげましたが、他にも外国人労働者の雇用や職業訓練、求職・求人指導などについても記載があります。
本日もありがとうございました~!
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