こんにちは、Kennyです!これまで企業経営理論の経営戦略論について見てきました。
前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論7 国際経営戦略、CSR
本日からは、企業経営理論の2つ目のテーマ、組織論について見ていきます。
組織の定義
そもそも組織とは何でしょうか。辞書を引くと、『一定の共通目標を達成するために、成員間の役割や機能が分化・統合されている集団。(デジタル大辞泉より)』と出てきます。ある共通の目標があって、それに向かって、それぞれがそれぞれの役割を全うし、それが全体最適に向かっていく必要があります。近代的組織論の創始者であるC.I.バーナードは組織の成立条件について以下のように提唱しています。
✓共通の目的があること
✓お互いの貢献意欲があること
✓コミュニケーションが取れていること
また、バーナードは組織が活動するためには「組織均衡」点が組織の存続を決めると提唱しています。組織均衡とは、各ステークホルダー(株主、経営者、従業員などの関係者)の企業に対する「貢献」と、「貢献」を引き出すための「誘因」(配当や賃金など)とが均衡している、釣り合っている状態のことを言います。
さて、冒頭の組織の定義で「共通の目標」という言葉が出てきました。これは先の経営戦略論で学んだ、経営理念・ビジョンからブレイクダウンしていくことで定められた企業戦略や事業戦略、それをさらに具体化した経営計画がそれに当たります。
つまり、組織論では、経営戦略をいかに実行に移す組織を作るか、ということを学ぶのだと言えそうです。
組織構造設計の5原則
組織を作る上で考慮すべき点としては、以下の5原則があります。
専門化の原則
業務の専門性を上げ、効率アップ。分業を進め、業務を公式化し、その公式を守らせ標準化する。
権限責任一致の原則(階層性の原則)
「責任の大きさ=権限の大きさ」にする
命令統一性の原則
One man, One boss。1人の部下に上司は1人。
統制範囲の原則
1人の上司が何人の部下をコントロールできるか
例外の原則(権限移譲の原則)
経営者は提携業務を部下に委譲し、経営者らしい仕事をしよう
組織のライフサイクル
組織が発足して成長していく過程には4つの段階があると言われています。
1.起業者段階
組織が生まれたばかり。リーダーシップを発揮し、組織を組織として統合していく必要がある段階です。
2.共同体段階
リーダーシップの発揮により、組織が拡大していく。さらなる成長のためには、リーダーは部下に権限移譲してくことが求められてくる。これは先に出た「例外の原則」。
3.公式化段階
さらに組織が大きくなり、複雑化してくる。管理運営のためにマニュアルや規則、システム化が進む。それにより効率的になる一方、手続きが煩雑になり、逆に効率が下がる「官僚制の逆機能」が生まれるおそれがある。
官僚制の逆機能の主なものには、形式主義、目的の置換(目的と手段が入れ替わる)、繫文縟礼、セクショナリズム(自セクションの利益優先、全体利益ムシ)などがあります。
4.精巧化段階
官僚制の逆機能を抑えるために、部門を分けたり、組織の中でプロジェクトチームを新たに作ったりして柔軟性を保とうとする。
組織構造の種類
組織構造には以下のようなものがあります。
機能別組織
企業活動の機能を細分化し部門に分けたヒエラルキー型組織。指揮系統はトップダウンで命令統一性の原則に従います。組織が多くなると、部門同士の対立が起こりやすくなります。
事業部別組織
多角化企業で事業が複数ある場合に、各事業部に権限移譲を行い、事業部ごとの独立性を高めた組織構造です。本社は企業戦略(成長戦略)に集中できる一方、事業部間の垣根が発生し、範囲の経済が効きにくくなります。
カンパニー制組織
事業部別組織をさらに進め、企業の下に事業部が連なるようにカンパニーが連なる。メリット・デメリットは事業部別組織のものをさらに強めたものになる。
持株会社(ホールディングス)
先のカンパニー制をさらに分権化し、カンパニーをまったくの別会社としてしまう組織構造。持株会社(ホールディングス)が複数の事業会社(被持株会社)の株式を持ちます。
マトリクス組織
機能別組織と事業部別組織のいいとこ取り。1人が両方の機能を持つ。例えば、ある担当者は営業部に所属しつつ、X事業を担当している、という具合です。
明日は「組織文化」について見ていきたいと思います。本日もありがとうございました~!
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論9 組織文化