中小企業診断士

【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論26 ブランド戦略

 こんにちは、Kennyです!前回で製品戦略の概要について勉強し、製品ライフサイクルやプロダクトポートフォリオマネジメントについて見ていきました。

 前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論25 製品戦略

 今回は製品戦略の中で、ブランド戦略について見ていきましょう。

1.ブランドとは

 アメリカ・マーケティング協会ではブランドを以下のように定義しています。

「ある売り手の財やサービスを、他の売り手のそれと異なるものと識別するための名前、用語、デザイン、シンボル、およびその他の特徴」

 大きな概念で、識別できるものであれば、名前や用語、デザインやシンボル、マークなど様々なブランド要素を含みます。

2.ブランド要素

 他社の製品と区別するための要素をブランド要素、またはブランドエレメントと呼びます。ブランド要素には以下のようなものがあります。

  • ネーム:ブランドの名前
  • ロゴ、シンボル:企業名、商標、マーク
  • パッケージ:商品の包装、容器
  • スローガン:ブランドを端的に表した覚えやすいフレーズ
  • キャラクター:人物や動物
  • ジングル:ブランドを思い出させる音楽

3.ブランド知識

 ブランドはいかにして構築されるのでしょうか。そこで必要となるものがブランド知識です。ブランド知識とは、消費者の頭の中にあるブランドに関する知識のことで、これにより、消費者は他の製品と、そのブランドの製品とを区別することができます。

 その知識が好ましいものであればあるほど、消費者のブランドに対するロイヤルティは高まります。つまり、消費者の頭の中に優れたブランド知識を構築することで、強いブランドが構築される、そう言い換えることもできます。

ブランド知識は以下の2つに分けることができます。

1)ブランド認知

 あるブランドが、ある製品カテゴリーに属していると知っていること、思い出すことができることです。ブランド認知は深さ(ブランド認知を思い出す容易さ)と幅(どんな状況で思い出せるか)とで見ることができます。簡単に思い出すことができるほどブランド認知は深く、様々な状況で思い出すことができるほどブランド認知の幅が広いことになります。

2)ブランド・イメージ

 ブランド・イメージとは、あるブランドについて考えたときに頭の中で連想されるイメージのことです。ブランド・イメージは思い出されやすく、魅力的で伝えやすく、ユニークであることが求められます。

4.ブランドの機能

 ブランドがあることで製品に対して以下のような機能があります。

  • 出所表示:どの企業が販売しているかがわかる。
  • 品質保証(品質表示):製品の品質の高さがわかる。
  • 差別化(広告宣伝):その製品と他の類似する製品とを識別できる。
  • ブランド・エクイティ(資産価値):製品への付加価値で無形資産の1つ。

5.ブランド・スポンサー

 誰がブランドを所有するかによって、以下のように分類ができます。

National Brand(NB)

 メーカーがブランドを所有します。知名度が高い一方、製品コストが割高になる場合が多くあります。

Private Brand(PB)

 流通業者(小売業者や卸売業者)が所有するブランドです。一般的に安価ですが、流通業者はメーカーから製品を買い取るため、売れ残るリスクがあります。

Generic Brand

ブランドを設定せず、製品の一般名のみを表記したものです。ブランドを表示しないのでノーブランドとも呼ばれます。

ミックスド・ブランド

 同一の製品をNBとPBとで販売すること。

ブランド・ライセンシング

 使用料を払った第三者にブランドを使用した製品の開発・販売をする権利を与えることです。

Co-branding

 異なる2つの企業が持つそれぞれのブランドを1つの製品に付与することです。共同ブランド、共創ブランドとも言います。例としては、「モスバーガー」と「ミスタードーナツ」がコラボした「MOSDO!」や「intel入ってる」のように、intelのCPUが入ったブランドPCなどが挙げられます。intelの場合には、PCの部品のブランドを利用するため、「成分ブランディング」と呼びます。

6.ブランド戦略

 ブランドに関する戦略には大きく「ブランド採用戦略」と「ブランド拡張戦略」の2つがあります。

ブランド採用戦略

ファミリー・ブランド戦略

 製品同士が類似したイメージで、標的市場も同じ場合に採用する戦略です。取り扱っている製品すべてに同じブランド名を付けます。

ダブル・ブランド戦略

 製品同士のイメージは異なりますが、標的市場は同じ場合に採用する戦略です。「企業名+製品名」として、メーカーがどこかを区別できることはもちろん、製品同士も区別できるようにするために2つのブランドを使います。

ブランドプラスグレード戦略

 製品同士が類似したイメージですが、標的市場が異なる場合に採用する戦略です。取り扱っている製品にグレード付けをして、「製品名+グレード」として表記します。

個別ブランド戦略

 製品同士のイメージも異なり、標的市場もばらばらの場合には、それぞれにブランド名を付与します。

分割ファミリー・ブランド戦略

 1つの企業が複数のファミリー・ブランドを持つ戦略です。

ブランド拡張戦略

ライン拡張戦略(ブランド強化戦略)

 既存のブランド名を使って、既存市場に広める戦略です。

ブランド拡張戦略(ブランド・リポジショニング戦略)

 既存のブランド名を使って、新規市場に売り出す戦略です。

マルチブランド戦略(ブランド変更戦略)

 既存の市場に新たなブランド名を打ち出す戦略です。何らかのイメージを払しょくしたい場合に採用されることが多い戦略です。

新ブランド戦略(ブランド開発戦略)

 新規市場に新たなブランド名を打ち出す戦略です。リスクは最も高いですが、その分成功すればリターンは大きくなります。

 製品戦略は以上で終了です。次回は価格戦略を見ていきたいと思います。
本日もありがとうございました~!
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論27 価格戦略

RELATED POST