こんにちは、Kennyです!前回で標的市場選択について勉強し、市場を細分化してその中でどの市場を選び、どんなポジションで戦うかについて見てきました。
前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論24 標的市場決定
今回からはコトラーの提唱するマーケティングの基本手順の中のマーケティングミックスについて見ていきます。マーケティングミックスとはマーケティングの4P(Product、Price、Place、そしてPromotion)の組み合わせのことです。選んだ市場に対してどんな製品・サービスをどのように販売していくかについて見ていきます。まずは、Product、製品に関する戦略から見ていきましょう。
1.製品の分類
顧客のニーズを満たすために企業が生み出し市場に提供するものが製品です。これはいくつかの切り口で以下のように分類できます。
✓形があるか
- 有形財:形のある製品
- 無形財:サービスのように形の無い製品
✓新たな製品を作るために使われるか
- 消費財:家計が購入して消費する製品
- 産業財(生産財):企業が購入して製品を生み出すために使われる製品
消費財、産業財はさらに以下のように分類できます。
2.消費財の分類
最寄品
日常生活用品のように購買頻度が高く、安価で消費者の関与が少ない製品。こだわりは少なく最寄りの店で買って済ませるような製品。
買回品
大型家電、家具のように購買頻度は比較的低く、やや高価で関与がある製品。買いまわるとは、消費者が複数の店舗を回り、製品を比較したうえで買うことを言います。
専門品
高級腕時計やアクセサリーのように非常に高価で専門店でしか取り扱いの無いような製品。
非探索品
購入頻度は非常に低く、必要と思うまで興味を持たない、探索しないような製品です。
3.産業財(生産財)の分類
- 材料・部品:原材料や加工のための材料
- 資本財:製品を製造するための設備、機械など
- 備品・サービス:保守や修理のための部品やサービスなど
4.製品ライフサイクル
Product Lifecycle、PLとも呼ばれます。製品が市場に登場してから市場から消えるまでにたどるプロセスのことを製品ライフサイクルと言います。製品ライフサイクルには4段階のプロセスがあります。
1)導入期
製品が市場に登場したばかりの時期です。売り上げは低く、知名度向上のために販売促進などにも費用がかかるため、この時期の利益は赤字になります。また、この時期での購入者はイノベーターです。ここでは知名度アップを狙います。
2)成長期
製品の売上が急速に上がる時期です。競合も増えてくるため販売促進のためのコストは依然かかりますが、売上の増加によって利益が出始めてきます。購入者はアーリーアダプターです。ここではシェア拡大を狙います。
3)成熟期
売上がピークになる時期です。ここまでくると、競合の市場参入も落ち着いてくるため、販売促進コストがあまりかからなくなります。製造コストも量の経済と習熟効果によって下がるため、利益が最大になります。購入者はアーリーマジョリティとレイトマジョリティです。ここでの狙いは利益の最大化とブランド強化です。
4)衰退期
製品の売上、そして利益が低下してくる時期です。撤退する企業も出始めます。その原因は技術革新やトレンドの変化、法的規制、強力な代替品の登場などです。ここでの購入者はラガードで、最低限の売上を残しつつ、いかに支出を削減するか、そしていかにスムーズに撤退するかが重要になってきます。ただし、売上の鈍化=衰退期ではなく、マーケティングの工夫等により売上が戻る場合もあります。いずれにしても引き際を見極めることが重要です。
5.プロダクト・ミックス
製品ミックスとはある企業が持つ品揃えのことで、製品ラインと製品アイテムの集合体です。製品アイテムとは個々の製品のこと、製品ラインとは類似した製品アイテムのグループを言います。製品ミックスは以下の4つの指標で表現することができます。
- 幅:製品ラインの数
- 深さ:1つの製品ラインに含む製品アイテムの数
- 整合性:用途、製造条件、流通チャネル等における製品ライン同士の関連度合い
- 長さ:企業が持つすべての製品アイテムの数
6.プロダクトポートフォリオマネジメント
Product Portfolio ManagementでPPMとも呼ばれます。経営資源の分配を考える際のフレームワークです。市場成長率と市場における相対的シェア(リーダー企業に対する)の2軸で4つの象限に分け、事業や製品がどこに位置するかを見ることで、どんな戦略が適切かを考えます。
✓問題児(成長前期)
市場成長率は高いですが、相対的シェアは低い。利益は少ないですが、販売促進のためのコストがかかります。いかにシェアを拡大して花形に成長させるかが重要です。
✓花形(成長後期)
市場成長率が高く、相対的シェアも高い。競合参入も多く、コストがかかりますが、売上、利益も上がっています。金のなる木にすることを目指します。
✓金のなる木(成熟期)
市場成長率は小さくなってきましたが、獲得している相対的シェアは大きいです。利益も最大化しており、ここで得られる利益を基に、問題児や花形の成長のための投資を行います。
✓負け犬(衰退期)
市場成長率、相対的シェアともに低いです。少ないながらも安定的に利益が上がっている場合には、残す場合もあります。いかにコストをかけないか、スムーズに撤退するかが重要です。
製品戦略としてブランド戦略についても見ていきたかったのですが、製品戦略と言えばいかにブランド化していくか、というくらい重要な内容で、かなり長くなってしまうので、ブランド戦略については次回見ていきたいと思います。
本日もありがとうございました~!
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論26 ブランド戦略