こんにちは、Kennyです!今日は企業経営理論の中の経営戦略論、その中の競争戦略(事業戦略)について見ていきます。前回は成長戦略(企業戦略)について見ていきました。
前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論3 成長戦略
企業全体の戦略である成長戦略のもとで、事業単位(SBU)でどのように戦うかの方向性を決めるのが競争戦略です。今回は競争戦略策定の事前準備である「業界構造の分析」と、「さまざまな競争戦略」について見ていきたいと思います。
業界構造の分析
企業戦略を策定する前に内部・外部環境分析を行ったように、事業戦略を立てる前にはその事業が属する業界の競合環境を分析する必要があります。競合環境の分析をする際には、M.ポーターが提唱した「Five Force(5F)分析」が有名です。
1.既存企業同士の競争
特に価格競争となることが多い。競合他社が多い、競合他社と力が拮抗している、市場成長率が低い、撤退障壁が高い、差別化できていないなどにより、競争が激しくなります。
2.売り手の交渉力
売り手である原材料や製品の供給業者に依存する状態になると、自企業の交渉力が供給業者より低くなり、高く仕入れなければならず収益性が悪化する。
3.買い手の交渉力
買い手の交渉力が強いと、安く買いたたかれ、収益性が悪化する。
4.新規参入者の脅威
新たに他社が参入してくると競争が激化する。参入障壁としては、大きな初期投資、規模の経済や経験曲線効果(経験を積むほど安価に作れる)、スイッチングコスト(他に替えると高くつく)、ネットワーク効果(使う人が増えるほど魅力アップ)などがあります。
5.代替品の脅威
代替品が生まれることで、既存商品が取って代わられるリスクがあります。
代表的な競争戦略
M.ポーターの競争戦略
業界内で長期的に勝ち続けるためには、「競争優位」が必要で、競争優位を確立するための3つの基本戦略を提唱しました。
コストリーダーシップ戦略
業界全体を対象に、コスト勝負をしていこうという戦略。コストを下げるため、効率よく大量に製造するとともに、経験曲線効果を得ることが必要。生産設備を常に高効率な新しいものに替えていかなければならない。
差別化戦略
競合他社に対して特別な何かを持ち、差別化を図ることで、優位性を確立しようという戦略。コスト差が開きすぎないように注意が必要。
集中戦略
業界内の特定の領域に焦点を絞り、経営資源を集中投下する。自社が絞った領域からさらに絞った領域を対象に他社が真似してくることがある。集中の方向性にはコスト削減への集中と、差別化への集中がある。
P.コトラーの競争戦略
業界内でのどのポジションに位置するかにより、最適な戦略が異なると提唱しました。
リーダー
業界内のトップシェアを誇るような大企業。経営資源も潤沢にあり質も高い。全方位に製品を展開する「フルカバレッジ戦略」、市場そのものを拡大する「周辺需要拡大政策」などを採択する。
チャレンジャー
業界No.2企業で経営資源の量は豊富だが、質はリーダーに劣る。リーダーの地位を奪取するのを目標にする。「セミフルカバレッジ戦略」を採択するとともに、差別化のためにリーダーができない思い切ったチャレンジを行うこともある。
ニッチャー
経営資源の量は少ないが、質は高い。一点突破型でニッチでの「ミニリーダー」になることを目指す。
フォロワー
経済資源の量も少なく質も低い。多くを求めず、リーダー企業やチャレンジャー企業などを「模倣」して、市場内での「利潤」を得られれば良い。
業界別競争戦略
- 多数乱戦業界:多数ある企業を集約・統合して大きな企業になることが有効
- 新興業界:先行者優位として早期に経験曲線効果を得られ、市場で仕組みを作ってしまうことにより、スイッチングコストを高めることができる。一方で、業界自体のリスク(先行者劣位)が働く。
- 成熟業界:プロセスや現行品の改良でコストを下げ、サービスの質を向上させる
- 衰退業界:業界のリーダーの地位を確保することや、セグメントを狭める「ニッチ戦略」、投資を回収して撤退する「収穫戦略」、即撤退する「即時撤退戦略」などがある。
本日もありがとうございました~!
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