中小企業診断士

【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論28 チャネル戦略

 こんにちは、Kennyです!マーケティングの4P、Product、Price、Place、そしてPromotionについて順番に見て来ています。前回は価格戦略について勉強しました。

 前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論27 価格戦略

 今回はPlaceにあたる、チャネルと物流に関する戦略について見ていきましょう。

チャネル戦略

チャネルとは

 チャネルとは流通チャネルとも言い、製造者から消費者の手に渡るまでの流通の経路のことです。このチャネルに関する戦略は、大きく2つに分かれます。1つは、どのような流通経路で流通させるかというチャネル選択。もう1つはそのチャネルをどのように管理するかというチャネル管理です。順番に見ていきましょう。

チャネル選択

 チャネルはその幅に応じて以下の3つに分かれます。

チャネルの幅

チャネルの幅とは、流通の各段階で取引する流通業者の種類や数のことで、チャネルの幅が広いというと、多くの流通業者と取引がある、という意味になります。

開放的チャネル戦略

 製品の取扱業者の数や範囲を限定せず広範囲に販売する、最寄品で採用される戦略です。流通業者が多くなりすぎて、管理が煩雑になる、行き届かずに安売りされてしまう可能性があるなどのデメリットがあります。PLF(製品ライフサイクル)の成長期・成熟期に適したチャネル戦略です。

選択的(限定的)チャネル戦略

 チャネルの幅をやや限定することで、流通業者管理をしやすくします。最寄品に加え、買回品でよく採用される戦略です。流通業者は他社製品も扱えるため、流通業者のロイヤルティを高める努力が必要です。PLFの導入期や衰退期に適したチャネル戦略です。

閉鎖的(排他的)チャネル戦略

 チャネル幅をさらに限定する、専門品によく用いられる戦略です。自社製品のみを取り扱ってもらう専属契約を結ぶこともあります。他社製品が無く、高い製品知識を持って接客してもらえる一方で、販売店舗数が限られるため、認知度が低くなりやすいというデメリットがあります。

チャネル管理

垂直的マーケティング・システム(VMS)

 Vertical Marketing Systemを略してVMSと言います。流通の上流である生産者・製造者から卸売業者、小売業者までを統合したシステムのことです。

企業型VMS

 1つの企業が製造から販売までのすべてを自社で行うシステムです。

契約型VMS

 契約によって成り立つシステムです。フランチャイズ・チェーンやボランタリー・チェーンの本部と加盟店との契約でつながるシステムが該当します。

管理型VMS

 契約は無く、企業の力関係を背景とする暗黙の了解によって統合されるシステムです。

チェーン組織

 チェーンとは文字通り鎖のようにつながった組織のことで、広範囲で販売をするにあたって、多数の店舗を中枢が管理するという組織です。これによって、経営戦略の立案や商品開発、人事・会計などを個々の店舗で行う必要がなくなり、運営の効率化をすることができます。店舗と中枢との関係性によって、以下の3つに分かれます。

レギュラー・チェーン(Regular Chain、RC)

 店舗は中枢と同一の会社で、中枢である本社が直営店を管理するチェーン形態のことです。

フランチャイズ・チェーン(Franchise Chain、FC)

 中枢であるチェーン本部(Franchiser)と加盟店(Franchisee)の間での契約によって成り立つチェーン形態です。FranchiserはFranchiseeに対して、その地域での独占的な販売権を与え、ノウハウを提供する代わりに、売上の一部をロイヤリティとして回収します。FranchiserとFranchiseeは混同しやすいですが、「er」は~する者、「ee」は~される者という意味の接尾辞です。「Franchisee、加盟店=フランチャイズされる者」は「employee、従業員、雇われる者」と一緒です。

ボランタリー・チェーン(Voluntary Chain、VC)

 「voluntary」は「自発的な、任意の」という意味で、ボランティアと似た言葉です。資本的には独立した複数の小売店が、中枢的業務の負担を軽減し合うために自発的に本部に中枢業務を任せるチェーン形態です。小売業者が共同出資で本部を設置する小売業主宰VCと、卸売業者が本部を代行する卸売業主宰型VCの2種類があります。

Supply Chain Management(SCM)

Supply Chain Managementとは

 原材料の調達から製品の製造、最終消費者への販売までの商流、物流、情報流にかかわるすべての活動をSupply Chainと呼び、それを管理する経営手法をSupply Chain Managementと呼びます。SCMではSC全体の最適化を目指し、そのための理論として延期-投機理論というものがあります。

延期-投機理論

 製品の生産の意思決定をいつ行うかによって、在庫のリスクや配送方法などが変わり、それらが全体最適になるようにチャネル構成が決まるという理論です。生産の意思決定のタイミングには2つの方向性、「延期」と「投機」があります。

 「延期」とは極力需要が確定するまで延ばそうという方向性で、これが強いほど受注生産に近づきます。在庫を抱えるリスクが少なくて済みますが、納品までに時間がかかり、機会を逃すリスクがある他、生産・配送コストも高くなります。

 一方の「投機」はできるだけ前もって需要を予想して生産し、在庫を抱えておこうという方向性です。リードタイムが短くでき、規模の経済でコストダウンが図れますが、在庫を抱えるリスクがあります。

従来は投機型のチャネル構造が主流でしたが、現在は消費者ニーズの多様化もあり、延期型に移行している製品も多くあります。

 本日もありがとうございました~!
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論29 プロモーション戦略

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