中小企業診断士

【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論27 価格戦略

 こんにちは、Kennyです!前回で価格戦略の中で特にブランド戦略について見ていきました。

 前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論26 ブランド戦略

 今回は製品戦略に続き、価格戦略について見ていきましょう。これはいかに価格を設定するかに尽きます。まずは価格を設定するにあたりどんな方法があるかを見た後で、価格に関してどのような戦略があるかを見ていきましょう。

価格設定で大事な用語

需要の価格弾力性

 「弾力性」という言葉は後に学ぶ経済学でもよく出てくる用語で、あるものが変化した時に、それにつられて対象となるものがどの程度変化するかを表します。その絶対値が大きいほど、つられて大きく変化します。

 需要の価格弾力性とはある製品について価格が変化した時に需要がどの程度変わるか、を表します。価格が変わった時に、価格の変化率に対して需要が同じまたは、より大きく変化するときに、「需要の価格弾力性が大きい」と言います。

需要の交差弾力性

 交差弾力性とは、ある製品の価格が変わった時に、別の製品の需要がどの程度変化するかを表します。2つの製品A、Bがあって、Aの価格が変わった時にAの需要がどの程度変化するかは「需要の価格弾力性」、Bの需要がどの程度変化するかが「需要の交差弾力性」です。

 交差弾力性によって、AとBの関係性がわかります。

代替財=交差弾力性がプラス

 Aの価格が上がるとBの需要が増え、Aの価格が下がるとBの需要が減る。つまり、Aが高くなると代わりにBを買う人が増える、という関連性です。

独立財=交差弾力性が0

 Aの価格が変わってもBの需要は変わりません。AとBは独立していると言えます。

補完財=交差弾力性がマイナス

 Aの価格が上がるとBの需要が減り、Aの価格が下がるとBの需要が増えます。

参照価格

 参照価格とは消費者がある製品を見てそれが高いか安いかを判断するために比較対象とする価格のことを言います。比較の対象は消費者のイメージや記憶などの内的なもの、他の商品や他の店舗の価格といった外的なものがあります。それらに基づく参照価格のことをそれぞれ「内的参照価格」、「外的参照価格」と呼びます。

価格設定方法

コスト志向

 コストに利益分を積み上げて価格を決める方法です。製造者と流通業者とで方法名が違います。

Cost Plus法

 製造コストに利益分を乗せる方法です。製造者に用いられます。

Markup法

 仕入れコストに利益分を乗せる方法です。流通業者で用いられます。

需要志向

 需要と供給の関係から、最も利潤が得られる価格と数量を計算しようという方法です。

知覚価値法

 消費者の知覚する価値、つまり、消費者がその製品に対していくらくらい払うか、という価格を設定して、その価格で販売できる製品を作る方法です。

差別価格法

 需要の価格弾力性の大小によって、異なる価格を設定する方法です。価格弾力性の大きい製品は安く、価格弾力性の小さい製品は高く設定します。

Dynamic Pricing

 ダイナミックに価格を変える戦略です。需要が上がれば価格を上げ、需要が下がれば価格を下げます。旅行、宿泊関連の業界で多く採用されます。土日や繁忙期に価格が大きく上がるのはよく見ますね。

競争志向

 競争相手が設定する価格を基に価格を設定する方法です。

実勢価格設定法

 市場でのその製品の平均価格に基づいて価格を設定する方法です。市場で最も影響力のあるプライス・リーダーが設定した価格に対してその他の企業(フォロワー)が追随することが多くあります。

入札価格設定法

 販売者を決めるために競売にかけ、最も低い価格を提示した企業が落札することで価格を決める方法です。

新製品の価格設定

スキミング・プライシング

 発売当初から高く売る方法です。これによって開発コストを早期に回収できますが、高くても買ってもらえるだけの品質や信頼が必要になります。

ペネトレーション・プライシング

 penetrationとは浸透という意味で、発売当初は安く売り、まずは市場への浸透、シェアの拡大を狙う方法です。

価格戦略

1.心理的価格戦略

端数価格戦略

 298円や980円などと端数にして大台に乗せないことで、消費者に安く感じてもらえるようにする戦略です。

威光価格戦略(名声価格、プレステージ価格)

 高価=品質も高いと感じやすい心理を利用した戦略です。意図的に高い価格にして、品質が高いものであると感じさせます。

慣習価格戦略

 長らく同じ価格で販売されており、慣習化したものについてその価格を踏襲する戦略です。慣習化した価格の製品の場合、その価格より高くても安くても売上が下がってしまいます。

2.製品ミックス価格戦略

Captive戦略

 captiveとは「捕らわれの」という意味です。本体を安く、付属品や消耗品を高く売る方法です。本体を買った消費者はその製品を使うために付属品や消耗品を買わざるを得なくなり、文字通り鳥かごの中の鳥のような状態になります。

価格バンドリング(抱き合わせ価格)

 いわゆるセット価格です。単品の内的参照価格を下げずに、販売量を増やすことができます。

3.流通業者がよく採用する価格戦略

Loss Leader戦略

 Loss(損失)のLeader(筆頭)を意図的に作る戦略です。赤字覚悟の目玉商品によって来客を促進して、それを目当てにやってきた消費者が他の商品も買ってくれることを期待します。

High-Low Pricing戦略

 値下げをする特売日を設けることで通常の価格(特売日に比べてHigh)の日とLowの日を設ける戦略です。特売日が頻繁にあればその分消費者の来店頻度は増えますが、内的参照価格が下がり、特売日にしか買わないといったことが起こるリスクがあります。

プライス・ライニング戦略

 製品ラインの品質ランクに応じて価格を設定する方法です。低価格ラインと高価格ラインが存在することで、互いに価格と品質を強調しあうことができます。

Everyday Low Price戦略

 文字通り毎日低価格にして消費者を引き付けようという戦略です。薄利多売ができるだけの低コストで運営できる体制が必要です。

その他の価格戦略

サブスクリプション戦略

 製品やサービスの数量ではなく、期間に対して価格を設定する戦略です。これによって、消費者がその製品・サービスを利用しなくても契約さえしていれば収益が確保できます。

本日もありがとうございました~!次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論28 チャネル戦略

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