中小企業診断士

【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論23 消費者行動2

 こんにちは、Kennyです!前回はマーケティング論の中で消費者行動について見ていきました。

前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論21 消費者行動1

購買意思決定プロセス

 コトラーが提唱する消費者の購買意思決定プロセスは次の5段階で説明しています。

1.問題認識

 生活の中で不便に感じることが発生し、それを不便だと認識する段階です。問題認識を生じさせる要因には、内から出るものと、外の刺激で引き起こされるものがあり、それぞれ「内部要因」、「外部要因」と呼びます。例えば、少し遠くのスーパーに買い物に行きたいけど、自転車では遠いし、雨の日や寒い日は億劫になる、不便だ、と認識するのは内部要因による問題認識です。一方、テレビCMなどを見て、それに触発されて、たしかに不便だ、と感じる問題認識は外部要因による問題認識です。

2.情報探索

 認識した問題を解決するために情報探索を始めます。これにも探索する情報源がどこにあるかで、情報源を2つに分けることができます。1つは消費者本人がすでに持っている記憶、知識といった情報です。これを「内部情報」と呼びます。もう1つは消費者の外部に存在する情報、「外部情報」です。まとめサイトの活用などは、まさに外部情報の探索にあたります。

 ここで、前回出てきたようなハワード・シェス・モデルが関連してきます。消費者の関与(こだわり)の強さによって、消費者の取る行動、情報探索の強度が、定型的問題解決行動、限定的問題解決行動、そして拡大的問題解決行動に分別できるという考え方でした。

3.代替案の評価

 探索した情報の中から、自身の問題を解決できる可能性のあるサービス、製品を絞り込みます。例えば、移動手段としての車が欲しいといった場合に、街中をメインで走るのか、実家に帰るのに長距離運転が必要になるのか、どんなものを積むのか、何人乗るのか、使う頻度はどうなのか、車庫の広さ、予算などのさまざまな条件を基に、いくつかの選択肢を評価していきます。ここでの評価は、製品・サービスについてのみではなく、店舗や接客を含め総合的に行われます。

4.購買行動

 複数の代替案、選択肢の中から、自身の評価基準で最も総合的評価の高かった製品やサービスを購入しようとします。ただし、消費者は往々にしてヒューリスティックという心理現象が影響して選択に偏りが生じます。つまり、選択肢の評価を論理的に行うのではなく、過去の経験などを基に判断をしてしまうことです。比較検討が省略される結果、意思決定スピードが速くなりますが、必ずしも適切な判断になるとは限りません。ヒューリスティックには以下のようなものがあります。

✓連結型ヒューリスティック

 消費者の複数の評価基準の中ですべての最低基準を満たしたものが1つでも挙がればその選択肢を選ぶ。

✓辞書編纂型ヒューリスティック

 評価基準の中で最も優先する基準の評価が最も優れている選択肢を選ぶ。他の評価基準は無視。

✓属性排除型ヒューリスティック

 いわゆる消去法。評価基準の中で最も重要だと思うものから、順に排除していき、残った選択肢を選びます。

5.購買後評価

 購買した結果、自身の期待に対して、その製品・サービスがどうであったかを評価します。その評価結果を自身の内部情報として蓄える他、口コミとして発信したりします。自身の選択が正しかったのかを疑う気持ちを「認知的不協和」と呼び、これを解消するために、自身の購入した製品・サービスの高評価情報を集めるなどの行動を取ります。企業はこの認知的不協和解消の手助けをすることで、消費者のロイヤルティを高めることができます。

ロイヤルティ

 ロイヤルティとは忠誠のことで、顧客が特定の製品や企業、店舗などを好み、反復的に選択することを意味します。対象が特定のブランドを選択する場合には、ブランドロイヤルティ、特定の店舗を選択する場合にはストアロイヤルティと言います。企業はこのロイヤルティを獲得することで、長期的に利益を上げることができます。

 ロイヤルティは行動面と心理面の2つの側面からとらえることができ、それぞれの高低により以下の4つに分類することができます。

真のロイヤルティ

 そのブランドや製品・サービスなどを好むという心理的ロイヤルティが高く、実際に反復して購入しており行動的ロイヤルティも高いという状態です。言わずもがな、4つの分類の中で最高の状態です。

潜在的ロイヤルティ

 心理的ロイヤルティは高いですが、実際の反復購入には何らかの理由で至っていない状態です。その理由を除去することで、真のロイヤルティに移行することができます。

見せかけのロイヤルティ

 反復して購入しているので行動的ロイヤルティは高いですが、実際にそのブランド、製品・サービスを好き好んでいるか、というとそこまでではない状態です。ちょっとしたきっかけがあると、他のブランド、製品・サービスに流れる可能性があります。

ロイヤルティなし

 行動的ロイヤルティも心理的ロイヤルティも低い状態です。

その他の購買意思決定プロセス

 購買意思決定プロセスは時代によって変化してきています。代表的なものをいくつか見ていきましょう。

1.マスメディア時代

AIDMA

  • Attention(認知)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)

2.インターネット時代

AISAS

  • Attention(認知)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Action(行動)
  • Share(共有)

3.SNS時代

VISAS

  • Viral(口コミ)
  • Influence(影響)
  • Sympathy(共感)
  • Action(行動)
  • Share(共有)

SIPS

  • Sympathize(共感)
  • Identify(確認)
  • Participate(参加)
  • Share & Spread(シェア&拡散)

4.コンテンツ時代

DECAX

  • Discovery(発見)
  • Engage(関係構築)
  • Check(確認)
  • Action(行動)
  • Experience(体験と経験)

 本日はここまでです。ありがとうございました~。
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論24 標的市場決定

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