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【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論21 マーケティング論概要

 こんにちは、Kennyです!前回までは組織論の中の労働関連法規について見ていきました。

 前回の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論19 労働関連法規

 全13回にわたり見てきました組織論は前回で終了です。企業経営理論という科目の中で、経営戦略論、組織論に続き、本日からは最後のマーケティング論について勉強していきます。今日のところは概論です。

1.マーケティングとは

1)ピーター・ドラッカーの定義

 『Management』で有名なピーター・ドラッカーは『Management』の中でマーケティングを以下のように定義しています。

「The aim of marketing is to know and understand the customer so well that the product or service fits him and sells itself.」

 大まかに訳すとマーケティングの目的は顧客を知り、理解することで、製品やサービスを顧客に合うものとし、商品自体が売れるようにすること、ということになります。

2)フィリップ・コトラーの定義

 コトラーはマーケティング論において最も有名な学者の1人で、「近代マーケティングの父」、「マーケティングの神様」と評されています。多くの論文、著書を出しており、『マーケティングX.0』シリーズもコトラーの著書です。マーケティング・コンセプトとマーケティングX.0とがきれいに合わないなあと感じましたが、それもそのはず、X.0は著書の名前だったんですね。

 マーケティングについては、『Principles of Marketing』の中で以下のように述べています。

「Marketing must be understood in the sense of satisfying customer needs. Marketing can be defined as the process by which companies create value for customers and build strong customer relationships to capture value from customers in return.

 マーケティングは顧客ニーズの満足という意味で理解されなければならない。マーケティングは企業が顧客のために価値を生み出し、強固な顧客関係を構築して見返りに顧客から価値を獲得するプロセスと定義できる。としています。

2.マーケティング・コンセプトの発展

1)生産志向

 自動車産業において「T型フォード」が大量生産され始めた頃のコンセプトです。モノが不足しており、作れば作るだけ売れるため、いかに生産効率を上げるか、を重要視する考え方です。

2)製品志向、シーズ志向

 生産効率が上がり、モノが行き渡ってきたため、より良い製品で顧客に買ってもらおうというコンセプトです。

 ここでよく出てくる用語、「マーケティング・マイオピア(近視眼)」は1960年にハーバード・ビジネス・レビューでセオドア・レビットが書いた記事の名前です。ちなみに、レビットは「グローバリゼーション」という言葉を広めたことで有名だそうです。

 彼はまた『マーケティング・マイオピア』の中でSellingとMarketingのコンセプトの違いについて触れており、「Sellingは売り手のニーズにフォーカスし、Marketingは買い手のニーズにフォーカスする」と述べています。Sellingを偏重するあまり顧客の視点が無い状態、これが「マーケティング・マイオピア」です。

3)販売志向

 さらにモノが増え、企業が過剰な在庫を抱えるようになった頃のコンセプトです。いかに効率よく売るかに焦点が当てられています。セリング(Selling)の考え方を重視しています。

4)顧客志向

 モノがあふれている成熟市場におけるコンセプトです。レビットの提唱するMarketing、つまり、顧客のニーズに合った商品を提供していこうとする考え方のため、マーケティング志向とも呼ばれます。

5)社会志向(ソーシャルマーケティング)

 顧客満足だけでなく、社会全体に対する責任を果たし貢献していこうという考え方です。非営利組織のマーケティングや社会的利益を考えたマーケティング(ソサイエタル・マーケティング)があり、ソサイエタル・マーケティングの中に、環境にやさしいグリーン・マーケティングや売上の一部を寄付するコーズリレーテッド・マーケティングなどが含まれます。

3.マーケティングの変遷

  1. Marketing 1.0:製品中心(作れば売れる)
  2. Marketing 2.0:消費者志向(顧客ニーズを大事に)
  3. Marketing 3.0:価値観主導(SNSの影響)
  4. Marketing 4.0:自己実現(スマホ時代、IoTやAI、ビッグデータの影響)
  5. Marketing 5.0:Technology for Humanity(加速するデジタル化、プライバシー)

 コトラーはまだ存命のため、今後さらに増えていくかもしれませんね。

4.マーケティングの基本手順

 コトラーはマーケティングの基本手順は以下の5つがあるとしています。

  1. Research:市場調査
  2. STP(Segmentation, Targeting, Position):絞り込み
  3. Marketing Mix:4P(Product, Price, Place, Promotion)を決定
  4. Implementation:実行
  5. Control:管理

 企業経営理論のマーケティング論ではこれらをはじめとするコトラー博士の提唱する考えを中心に勉強していくことになりそうです。

 本日もありがとうございました~!
次の記事はこちら→【独学受験・中小企業診断士】企業経営理論21 消費者行動1

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